紺碧の夜に

140文字では足りない にじみだすような思い

女子トークってヤツ

女性の皆々様を敵に回す覚悟で言う。

女子トークというものが、嫌いだ。

 

各々が好き勝手なことを思いつくままに話し、それ故に話の結末まで辿り着かないことが多々あるし、時にはその場にいない仲間と思わしき特定人物の噂話や陰口をも話し、挙げ句の果にはマウンティング合戦が起きたりもする。

話している内容に深い意味はなく、なにより大切なのは空気を読んで共感すること。相手を褒めたかと思えば褒められ待ちの見えない駆け引き。

 

あー、なんて疲れるんだ女子トークは。

あー、女子トークなんて大嫌いだ。

 

なんて思っていた。少し前までは。

でもいまは、ライトな女子トークに飢えている自分に気付き、愕然としている。

今年の3月末。隣席の同僚女性(3歳年下で5年後輩)が、パートナーの転勤に同行するため、退職した。その同僚女性Aは、3姉妹の末っ子という家庭環境と持ち前の人懐っこさで、コミュ力がすこぶる高い子だった。

 

長年隣の席でやってきたので、当然色々話すのだが、その会話の中には、とりとめのない、いわゆる雑談も多々あった。

上司の愚痴、会社の愚痴、仕事内容の愚痴は元より、家族の話、美容の話、ペットの話、パートナーの話。ありとあらゆる事を、プライベートに踏み込んだり踏み込まなかったりしながら話してきた。

 

それは仕事の合間の息抜きであり、ともに仕事をする仲間としての共感を確かめる時間でもあった。
つい今し方起きた、上司からの理不尽な発言への瞬間的な怒りや不満を受け止めそして受け止めてもらう、大切な会話だった。

それが3月末で強制終了となった。

ちょうどコロナ禍と重なったこともあり、隣席に誰かが座ることもなく、他の同僚女性2人とは少し離れたところで、ひとりポツンと仕事をしている。

 

ほんの数歩先には、ほんの少し声を張れば話せる年下同僚(後輩)は2人もいるけれど、いかんせん、その2人は会話でのコミュニケーションが特別に苦手なタイプで、スムーズに会話をすることが難しい。

頼みたい仕事の内容を一回の説明で理解してもらえることはほぼなく、プライベートを含む軽口の雑談はおおよそ無理だ。(話していると、軽いどころか大変大きな話に発展してしまう。声もデカイ。)

そこで思う。

 

ああ、A子ちゃん、カムバックプリーズ。
今の私は、ライトな女子トークに飢えている。

 

もちろん職場に会話がないわけではない。特定の上司も話しかけてくる。そう、主に自慢話や股聞きの意味のない会話を…。いやそれなんやねんって突っ込みたくなるような、つまらない話題ばかり。
聞き流している最中の私は、きっと能面だ。

 

もちろん、家庭では夫とも会話している。中2男子みたいなバカトークやバカなことをしてバカ笑いだってしている。

それでも、だ。やっぱり女子とのトークとはちがう。

あの、矢継ぎ早に飛び出てくる言葉や、テンポよく挟まれる相槌。何気に話を広げてくれる小さな質問。そしてなによりも、女子の軽やかな笑い声。

お互いの感情を吐露しそして共感してもらうことで心が軽くなる。たとえ仲良しの夫と多くの会話をしていても同じものは得られない。

 

ああ、私、女子トーク嫌いなんて思っていたけど、やっぱり、女子とのトークでしか得られないものってあるんだ。大人数では無理だけど、1対1の女子トークはむしろ好きだったのかもしれない。

最近やっとそのことに気付いた。

 

それなのに。運悪く、私は女友達が少ない。軽くお茶に誘えるような女友達さえいないなんて、なんて悲しいアラフォーなんだ。

どうしたらいいんだ。

 

ああ、A子ちゃん、カムバックプリーズ。

私とお話して。