紺碧の夜に

140文字では足りない にじみだすような思い

グレーであることの美学

関ジャム 完全燃SHOW」という番組を見ています。関ジャニ∞の番組なのですが、毎回音楽にかかわる職業の方々をゲストに招いていろんな話を聞くという主旨です。

前回(1月21日)のゲストは、蔦谷好位置さんと、いしわたり淳治さんで、各人が2017年の年間ベストソングを選ぶというもの。このおふたりは折に触れてこの関ジャムで色々選ばされているので(笑)、とても人気のある特集のようです。

 

今回はこのランキングについて書きたいわけではないので、結果をバラしますと、こんなんです。(TVを撮影したので見辛い)

番組内のいしわたりさんのコメントを聞いていて、ふと書きたくなったことがあったので、いまこれを書いています。

 

件のコメントというのは、彼が8位に据えた、ドラマ「カルテット」の主題歌【おとなの掟 / Doughnuts Hole】について。

大人だから当然、恋愛の酸いも甘いも分かっている。

でも、だからといって物分かりがいいわけではない、というトーンで、最初から最後まで意味深に進む歌詞。

好きだの嫌いだのと白黒つけない、文字どおりグレーな感情を、グレーなグラデーションだけで、一曲書きあげてしまう技術はさすがの一言です。

これ聞いていて思いました。

 

あ。このグレーな感じ知ってる。「好きだの嫌いだのと白黒つけない、文字どおりグレーな感情」をたくさん見てきたぞ。

グレーな感情・グレーであることを良しとする危うい世界を、江國香織山田詠美で嫌というほど読んできた!

 

この数日、読書メーターで書いてきた読書感想をアップしていますが、まさに、その読書で知った大人の心の揺らぎでした。

わたしは中高生のころに江國香織山田詠美を山ほど読んだことで、グレーであることを良しとするということを知ったのだった。挙句の果てには、グレーであることこそが美しいとすら感じるようになる始末。

 

世の中で、人間の感情ほど曖昧なものはなく、江國香織山田詠美も、人間の弱さも強さも見据えて隠さず時にはあえてオモテに出して書く作家なので、否応なしにそれを知った というわけ。

 

江國香織は、底も見えない崖に渡された細い細いロープを綱渡りしているかのような危うさでもって、グレーな人間を書く。

山田詠美は、堂々とけれどしたたかにグレーとして生きながらも傷つきやすい人間を書く。
(注)この数年はどちらの著書も読んでいないので、あくまでわたしが読んでいた頃の話。

 

江國香織の「きらきらひかる」「ホリーガーデン」「流しの下の骨」「落下する夕方」「神様のボート」‥‥。

山田詠美の「ぼくは勉強ができない」「ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー」「アニマル・ロジック」「トラッシュ」「24.7」「4U」‥‥。

多感な10代をこんなグレーまみれで過ごしたので、グレーをこよなく愛すメンヘラ女が出来上がったわけですけどもね。

 

かくいうドラマ「カルテット」も、ものすごく素敵なドラマだったけれど、先のいしわたりさんのコメントは楽曲だけでなくドラマにも通じるものだなと。

 

「カルテット」もグレー、「おとなの掟」もグレー。

果たして、グレーなものは美しいのだろう。

その危うさと曖昧さでもって、人を惹きつけて離さないのだろう。

 

グレーであることの美学は、江國香織山田詠美で知りました。という話でした。

 

 ▼このアルバムに「おとなの掟」入ってるらしい!知らなかった。

明日はどこから

明日はどこから

 

全然関係ないですが、ドラマ「最高の離婚」「Woman」も大好きだったのですが「カルテット」と同じ脚本家(坂元裕二さん)だったのですね。